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【小説紹介】本谷有希子『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』惰性で毎日を過ごしているあなたへ

2018 4/15
エンタメ 映画・ドラマ 本・書籍
ドラマ 小説 本谷有希子
2018年4月15日

はじめまして。ライターのえんわーくです。

この度Dandyism Onlineにて記事を投稿させていただく運びとなりました。記念すべき初投稿では、本谷有希子さんの小説『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の紹介をさせていただきます。

この小説の魅力をお届けできるように尽力致しますので、良ければ少しの間お付き合い下さい!

目次

はじめに

ついこの間年が明けたところだと思っていたのに、気付けばもう4月。4月といえば新学期や新生活という言葉が思い浮かびますが、大人になると4月が来たとはいってもあまり新生活という感じがしませんよね。

職場環境や業務内容など4月が来たからといって大きく変わるものでもありませんし。だけど何か始めたい、だって4月だから。

だけど何を始めたらいいかわからない。それに何かを始める為にお金を投資して、それで直ぐに挫折してしまったらもったいない……。

そんなあなたにおススメしたいのが読書です。なんて言ったって本を買うだけで始められますから。

文庫本なら初期投資ワンコインで済みます。超お手軽!

もしあなたが活字を追っているとものの数分で眠りについてしまう特殊体質だった、ということが判明して挫折したとしても、便所のちり紙にでもすれば有効活用できます。

くしゃくしゃにしてから使えばお尻も痛くないはず。ワンコインで購入した本ことちり紙は、トイレットペーパーという大義を終えて下水へと流されていくだけなのです。

今回おススメしたい本は、本谷有希子さんの『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』という小説です。長編小説ですがエンターテイメント性が高くスラスラと読めてしまう小説ですので、普段あまり小説を読まないという方もチャレンジしやすい小説かと。

次からは本作品、及び作者の本谷有希子さんについて解説していきます。

芥川賞作家・本谷有希子とは?

2016年に『異類婚姻譚』という小説で第154回芥川龍之介賞を受賞された本谷有希子さん。そんな彼女のデビューからこれまでの軌跡を振り返ってみましょう。

『劇団・本谷有希子』で劇作家として作家デビュー

え、小説家じゃないの? そんな声が聞こえてきますが、実は本谷さんは劇作家としての顔も持っているんです。ご自身で立ち上げた『劇団、本谷有希子』という劇団で劇作家としてデビューし、更には本劇団の主宰も務めていらっしゃいます(とは言っても本劇団の劇団員は本谷さん一人で、公演の度に都度俳優さん女優さんにオファーを出すというスタイルなのですが)。

今までに計16回の公演をされています。その中には女優の夏菜さんや片桐はいりさん、俳優の池松壮亮さんなどそうそうたる面々が出演されています。

ドロドロとした愛憎劇が『劇団、本谷有希子』の真骨頂。日常生活に刺激が足りないなと思っている方は、DVD化もされていますので是非一度ご覧になってみてください。

第53回『岸田國士戯曲賞』を受賞

そして2008年に上演された『幸せ最高ありがとうマジで!』という公演で、2009年第53回岸田國士戯曲賞を受賞されます。この賞は別名“演劇界の芥川賞”とも呼ばれる賞で、この時から本谷さんの作家としての実力が世間に認められていたという事がわかりますね。

そしてこの賞を受賞された7年後、前述の芥川賞を受賞されます。それまでも3度芥川賞候補には選ばれていましたが、あと一歩のところで落選。

4度目にして念願の受賞を遂げました。

フジテレビ系列『セブンルール』に出演中!

劇作家に小説家とマルチに活躍される本谷さんですが、実は今バラエティー番組にレギュラーとして出演されているんです。それがフジテレビ系列の『セブンルール』という番組。

本谷さんはコメンテーターとしてタレントのYOUさんやオードリーの若林さんと共にレギュラー出演されています。少し特殊な職業に就いて働いている女性にフォーカスを当てた番組なので、本谷さんはピッタリな人選だと言えますね。

舞台発祥

タイトルの『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』ですが、実は本作は舞台発祥の小説なんです。そこで舞台についても少し紹介させて下さい。

2000年9月に初演

2000年9月に本舞台は初演され、その後2004年11月には本劇団の第8回公演にて再演されています。そしてこの初演、なんと『劇団、本谷有希子』の記念すべき初公演だったんです。

つまり本作が本谷さんのデビュー作という事になります。若かりし日の本谷さんの瑞々しい感性で製作された作品がこの『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』なんです。

2004年に小説として出版

そして2004年の再演とタイミングを同じくして、小説版が発表されます。掲載場所は『群像』の2004年12月号。

そして本作品は第18回三島由紀夫賞の候補にもなります。惜しくも受賞は逃しましたが、デビュー作が時を経てこのように高い評価を受けたことは本谷さんご本人にとっても非常に嬉しいことだったのではないでしょうか。

文庫本

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

posted with カエレバ
本谷 有希子 講談社 2007-05-15
Amazon
楽天市場

電子書籍

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

posted with ヨメレバ
本谷有希子 講談社 2007年05月
Amazon
Kindle
楽天ブックス

続いて本作品の内容について触れておきたいと思います。ここからが本番なのでもうしばしお付き合いくださいね。

◆あらすじ・登場人物

田舎町を舞台にしたブラックコメディ

四方を山に囲まれた限界集落の中に建つ民家の和室、ある葬儀の昼下がりから幕は開けます。両親の死を受け入れ切れずに膝を折ってうずくまる少女と、そんな少女を必死に励まそうとしながらも空回りを続ける妙齢の女性。

実は二人は義姉妹なんです。高校生の少女と、少女の兄と結婚した女性。

重苦しい雰囲気を作り出しているこの二人ですが、実はどちらも本作の主人公ではありません。空回りを続ける兄嫁に少女が呆れ始めていた時、玄関の扉が開かれ和室へ向かっている足音が聞こえてきます。

足音が大きくなるにつれ少女の顔はどんどん陰っていく。大仰な音を立てて家に入ってきた女性、それは少女の姉であり本作の主人公でもある澄伽なのでした。

上京していた澄伽は両親の訃報を受け2年振りに帰省してきたのです。澄伽を極度に恐れている少女・清深。

二人の過去に何かがあったのは明白です。両親の死という重いテーマを扱ってはいますが、話自体は暗いお決まりな展開にはならず軽やかに進行していきます。

時にはクスリと笑ってしまうブラックジョークすらも交えながら。姉妹の確執を中心に据えながらもその周辺にいるの人達の人間模様も描かれている群像劇です。

次からは各登場人物にフォーカスを当てていきましょう。

登場人物

本作でメインとして描かれる人物は全部で4人。和合家の3人兄弟(姉妹)と和合家に嫁いでいた長男嫁の待子。

それぞれが全く異なるタイプの人間です。そんな4人の掛け合いで物語は進行していきます。

自分が特別だと思っている勘違い女・和合澄伽

本作の主人公である和合家の長女、澄伽。彼女は自分が特別な存在であるという事を信じて疑わない所謂「勘違い女」です。

高校卒業と共に女優を目指して上京し、現在は都内で活動をしている小劇団に所属しています。しかし彼女の高飛車な態度や演劇に対する不真面目な姿勢で、劇団内では鼻つまみ者になっています。

確かに澄伽は誰が見てもまごう事なき美人です。女優になりたいという夢も決して荒唐無稽なものでは無い、と思わせるだけの説得力があります。

しかし、性格面での問題が彼女の美人というプラスポイントを遥かに上回るほどに深刻なのです。両親の訃報を受けて2年振りに帰郷した澄伽。

実家では当然高校生の妹・清深が暮らしています。妹との間に起きた過去の確執。

その溜飲が下がらないままに帰郷した澄伽は帰郷したその日から妹への復讐を企だて、そして実行へと移していきます。

姉のいたぶりに耐える少女・和合清深

和合家の次女で末っ子の清深は、澄伽とは打って変わって控えめで内向的、言葉を選ばずに言うと根暗な性格です。そんな彼女は復讐と称した澄伽の数々の嫌がらせにも抗うことができずに虐げられていきます。

そんな清深ですが、臆病な素顔の裏に隠れた彼女の暗く深い部分が物語の進行と共に少しずつ明らかになっていきます。両親の死の現場に立ち会った事を回想している時の清深が語る凄惨な描写の数々には、読んでいて思わず目を背けてしまいそうになりました。

他にも、両親が亡くなる原因となった猫(彼女の両親は車道に飛び出した猫を助けようとした際に、ダンプカーに轢かれて亡くなりました)の飼い主の家に夜な夜な嫌がらせの電話を掛け続けたり。抑圧された彼女の狂気は徐々に、だけど確実に膨張していきます。

そして物語の終盤では彼女にある転機が訪れます。それは、読者の誰もが全く予想できなかった展開。

驚愕する読者を差し置いて、飄々とした態度でその転機を受け入れる清深。彼女は彼女にしか歩めない道を歩き始めるのです。

DV亭主・和合宍道

和合家の長男、宍道(しんじ)。坊主頭の強面で額には芋虫のように盛り上がったグロテスクな傷を携えている一見近寄り難い存在感を放つ彼。

人を寄せ付けないオーラを纏っている宍道ですが、実は新婚さんなんです。結婚した直後に両親の事故死という不幸に見舞われ、和合家の当主を継ぐことになります。

内気な清深のことを気にかけており、その見た目とは裏腹に家族思いの優しい男……かと思いきや、澄伽の帰省と共に宍道の様子は段々とおかしくなっていきます。結婚したばかりの奥さんに暴力を振るうようになった宍道。

日に日にエスカレートしていく彼のDV行為は遂に暴力だけでは収まらず、ある日突然奥さんをエジプトへと国外追放してしまいます。奥さんが家から居なくなって、どこかほっとしたような表情を見せる宍道。

そしてそんな宍道を満足げな顔で見つめる澄伽。彼の度重なるDV行為の裏で、澄伽の存在がなにかしら作用しているのは間違いありません。

二人の間に何があったのでしょうか。

孤児院出身の兄嫁・和合待子

最後に宍道の奥さんの待子。彼女の人生は、常に「一番最悪の少し上」という状況の連続でした。

捨て子としてコインロッカーの中から始まった彼女の人生。小学生の時には養父に人柱として殺されかけます。

中学卒業と共に埼玉の缶詰工場へと就職して施設を出てからも工場倒産、借金の肩代わり、詐欺商法被害、アパートの家事といった様々な不幸に見舞われながらも、なんとか生き延びてきた待子。そんな彼女が31歳を迎えたその朝に、このまま一生一人で居るのかとふと気になり結婚相談所の門を叩きます。

そしてそこで、マッチング率97.4%という驚異のマッチング率を示した相手が宍道だったのです。天涯孤独だった待子は、宍道が結婚相談所のプロフィールに提示していた「家族を何よりも大切にできる女性」という条件が決め手となり、宍道との結婚を決意します。

そして嫁いだ先では義父母の死に加えて夫のDV行為という新たな不幸に見舞われることになりますが、彼女自身はその状況について不幸だとは思っていません。天涯孤独だった彼女にとって、どれだけ暴力を振るったりエジプトへ国外追放されたり(もちろん後には無事帰宅しています)しても、DV行為を働く相手であったとしても、家族は家族。大切な存在であることに変わりはないのです。

凄惨な境遇の中でも天性の明るさと極度のお人好しを保ち続けている待子。物語の後半ではそんな彼女を更なる不幸が襲います。

以上で登場人物紹介は終わりです。次は物語の核心に少しだけ触れてみたいと思います。

ネタバレ解説。印象的だった台詞は? ラストは一体どうなる?

ここでは、僕が個人的に気に入っている登場人物の台詞をランキング形式で紹介していきます。劇作家でもある本谷さんの独特な台詞回し、その魅力を精一杯お届けしたいと思います。

印象的な台詞・ベスト3

3位「私が頭おかしかったせいでお姉ちゃんに迷惑かけてますって言いなさいよ、あんた!」

第3位は主人公の澄伽が妹の清深へ向けて吐いた台詞です。清深のせいで、女優になるという自分の夢は今も叶わないままなのだと言って詰め寄った澄伽は、激昂しながら清深にこの台詞で怒鳴りかかります。こ、コワい……。

澄伽が清深を怒鳴りつけた理由、それは過去に起きたある出来事がきっかけで、澄伽は今でも清深のことを憎み続けているんです。そしてこの台詞を皮切りに、清深に対する澄伽の復讐が始まります。

2位「理由ですか? 私が生きてる? ……あ、ない!」

第2位は兄嫁、待子の台詞。澄伽に生きている理由を問われた待子が、はっと気付いたような様子で、今までの自分の人生を省みた後に出た台詞です。

字面で見ると悲惨な台詞でも待子が放つと何だか脱力して笑ってしまう、そんな彼女の稀有な人柄を表現しているワンシーンです。

1位「お姉ちゃんは、自分のおもしろさを全然分かってない!」

そして堂々の第1位は、ラストシーンで清深が澄伽へ向かって言い放った台詞です。澄伽の復讐に耐え続けた清深が、渾身の思いを込めて放ったこの台詞。

物語の中に少しずつ散りばめられた伏線の全てが、清深のこの台詞に集約されているのだと思いました。清深がこの台詞を放つシーンを読んだ瞬間、僕はある種のカタルシスすら感じました。

この台詞が起因して、清深と澄伽の関係性は明確に変化します。彼女らが紡ぎ出す物語のラストは一体どうなるのでしょうか?

ラストはスカッと? それともモヤっと?

気になるラストですが、澄伽と清深の確執、澄伽と宍道の関係、そして待子に対する宍道のDV行為は一体どうなるのでしょう。詳細をここで明言するのは伏せておきますが、僕個人としてはスカッとするラストだったなと思います。

ただこの感想は、どの登場人物に感情移入するかによっても変わってくると思います。あなたはこの小説を読んでどう感じるでしょうか。

スカッと? それともモヤっと? そのどちらでも無い?

読者の数だけ物語の解釈がある。それが顕著に現れているのが本作品の特徴ですね。

そしてそれは純度の高い文学全般に言えること。あなただけの解釈が、この小説をより高尚な文学へと高めていくことでしょう。

感想 – 面白い? それともつまらない?

それで結局この小説って面白いの? ということですが、ここは評価が大きく分かれるところだと思います。あらすじの項でも書きましたが、この小説はブラックコメディ的な要素を多く内包しています。

両親の死や近親相姦(ここで少しネタバレを……)など倫理的にタブーだとされるところにも踏み込んでいますし、それを読んで悪趣味だという判断を下す人も少なくないでしょう。それでも僕はこの小説は面白いと手放しで言いたいです。

この小説はただの悪趣味小説では終わることなく、その悪趣味ささえも強大なエネルギーへと転換している小説だと思うのです。僕達はどうしても毎日を惰性で生きてしまいがちです。

そんなことないという人も中にはいるのでしょうが、大人になるに連れてルーチン化していく日々の仕事や生活をこなすことだけに一日を費やしている人が多く居るのもまた事実。この小説に登場する人達は向かっている方向こそ明後日の方向なのかもしれませんが、それでも毎日必死に生きています。

今日を何とか生き延びよう、その一心でもがき苦しみながら全員が毎日を生きている。そこに惰性などといったヌルい感情は一つも存在していません。

もがき苦しむ登場人物達の姿は、読者という離れた立場から俯瞰して見ると滑稽で哀れなものに映るのかもしれません。それでも彼らにとって、毎日は真剣で深刻な出来事の連続なんです。

惰性で毎日を過ごしている僕にとって、そんな彼ら彼女らが放つエネルギーはとても重苦しく、だけど美しいものに見えました。この小説が読んだあなたの心にどんな種を植え付けるのか、僕には想像できません。

そしてその種がどのように芽吹いてどのような姿形に育っていくのか、それも勿論わかりません。読み終わった瞬間、あなたの中の何かが変わっているかもしれません。

読み終わって直ぐは何も感じなかったとしても、半年が経って1年が経って、そこである日突然種が発芽するかもしれません。何も感じないままあなたの記憶から消えていくかもしれません。

だけどそれは、あなたが死ぬまでわからないことです。何も感じないかもしれないけれど、もしかしたら何か感じるかもしれない。

そんな期待を胸に、この小説の表紙をめくってみませんか?

映画化も! 気になるキャストは?

蛇足になりますが、この小説は映画化もされています。そちらについても少しだけ紹介させて下さい。

監督はカリスマCMディレクター

メガホンをとったのはCMディレクターの吉田大八さん。なんとこの映画が初めての長編映画監督だったそうです。

吉田さんはこの映画の撮影を皮切りに、漫画や小説を原作とした映画の監督を数多く手掛けていきます。そして2012年に公開された朝井リョウさん原作の映画『桐島、部活やめるってよ』では第36回日本アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞されました。

そして今もなお映画監督として第一線で活躍されている吉田さん。そんな彼の出発地点がこの作品だったのです。

次からは映画を彩る個性豊かなキャストの方々についてご紹介させていただきます。

サトエリ(佐藤江梨子)の勘違い女っぷりにドン引き?

主人公の和合澄伽役には、グラビアアイドルとしてデビューし現在モデルやタレントとしても活躍されている女優の佐藤江梨子さん。佐藤さんが元来持っている凛とした佇まいが澄伽のイメージにピタリとハマっています。

そして澄伽の傲慢さや勘違い女っぷりも完全再現以上のレベルで表現されています。嫌な人間の役を完璧に演じ切った佐藤さん。

彼女はこの演技が評価され、ヨコハマ映画祭で主演女優賞を受賞されました。

佐津川愛美のおどおど演技が可愛い!

和合家次女の清深役には女優の佐津川愛美さん。それまで清楚な役のイメージが強かった佐津川さんですが、本作ではそのイメージを一変させる陰鬱な少女の役を演じます。

僕は本作以外に出演されている佐津川さんの姿を拝見したことが無く清楚なイメージというバイアス無しに彼女の演技を観ることができたのですが、佐藤江梨子さんと同様に彼女もハマり役だったなと思いました。化粧っ気のないぼさぼさ髪の地味な女子高生役なのに可愛く見えるのは、佐津川さん自身が持っている魅力に他ならないものだなと感じました。

だけど可愛いだけじゃありません。佐藤さんに虐められている時の佐津川さんの怯えた演技が本当にリアルで、観ているこちらまで痛ましい気持ちになるんです。

そして佐津川さんは第50回ブルーリボン賞では助演女優賞と新人賞の2部門にノミネートされています。彼女の演技が評価されたことの証明ですね。

永作博美のダメ女っぷりに抱腹間違いなし!

最後にご紹介するのは和合家に嫁入りしてきた待子を演じた永作博美さん。童顔なルックスとくしゃっと笑う笑顔が印象的な永作さん。

本作では様々な不幸に襲われながらも笑顔を絶やさない、天性の明るさを持つ女性という役を演じられました。どんな失態をおかしてもどこか憎めない待子という役どころに、永作さんの素敵な笑顔が見事に合致しています。

夫からDV行為を受けているシーンなど悲惨なシーンが多いのですが、そんなシーンでも不思議と笑えてしまいます。原作よりもシリアス寄りに制作された本作の中で、永作さんのシーンが一服の清涼剤となっています。

まとめ

長々と解説を続けてしまいましたが、いかがだったでしょうか? 物語の核心に触れる部分は伏せて解説しましたので、これからこの小説を読まれる方もドキドキしながらページをめくることができると思います。

普段小説を読まない方も、小説は読むけどこの作品は読んだことないという方も、是非一度、混沌とした本谷有希子ワールドに足を踏み入れてみてください。元に戻れなくなるかもしれませんが……。

これから不定期に様々な本の紹介をしていきたいと思いますので、よければ次回もお付き合いをお願いいたします!

 

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この記事を書いた人

野口 銀河のアバター 野口 銀河 代表取締役

PC11株式会社代表取締役。静岡県三島市在住。沼津市でステーキハウス&レストラン「鉄板焼葉山」を経営し、そのノウハウを活かして飲食店専門のWEB集客支援サービスを展開。さらにその傍らで地元ポータルサイト「伊豆駿東まっぷ」や音楽ポータルサイト「KICROSS」などのブログを運営。個人では「ダンディなライフスタイル」をテーマにブログやYouTubeでも情報を発信している。

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